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ハリネズミの願い

201912/9

【写真交換日記197】from Tokyo「ハリネズミと一緒に紅茶を」

日曜の朝、ガーディアンをめくりながら夫婦で紅茶だなんて、なんだかすごい「イギリス」ですな。私は味気ないですが、デジタル版を読んでいます。

パーティシーズンですが、そんな時にふと思い出す本があります。それは2017年本屋大賞(翻訳小説部門)を受賞した『ハリネズミの願い』という本です。誰かを招待したいのに、なかなか手紙を送れないハリネズミのジレンマの物語。挿絵もとてもかわいいです。
「私が行ってあげるのに!」なんて思いながら、ハリネズミと一緒に紅茶を飲む妄想をするのでした。

『ハリネズミの願い』 トーン・テレヘン 著  長山さき 訳
新潮社 2016年 1300円

『あの動物、招待する?招待しない?』

 いちばんリラックスできる状態を考えた時に、誰しもが思うのは一人家でのんびりと寝転んだり、ゴロゴロしていることではないだろうか。次にリラックスできるのはお茶やコーヒーを飲んでいる時。ではその横には誰がいるのだろう。一人? あるいは友達と? 家族? もしくは恋人と。

 ハリネズミは一人(一匹?)、妄想している。一人で寝てばかりいるけれど、誰か他の動物や虫たちを家に招待してみようかと。でも、そのいろんな動物が<訪問>してきた時のシュチュエーションを妄想すると必ず、とんでもないことや悲しいことになってしまう。「紅茶を飲む?」とハリネズミは健気にも、(妄想の中で)訪ねてきたどんな動物にも、紅茶を淹れる(淹れようとする)。

 59の短い話で成り立つこのストーリーは、「こじらせた(こじらせがち)」な人には自虐的な笑いを誘い、素直な人はおそらく「ハリネズミったら考えすぎだよ!」とツッコミながら笑うのかもしれない。気がつけば、自分の周りの人が、どの動物に当たるのかを妄想している。
 美味しく、心から楽しんで紅茶を飲める相手とは、一体誰なのだろう。

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