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202011/13

【今日の云々:カルチャー日記 in London】2020年11月9日~15日「ラジオ版『つけびの村』、ナイジェラ様新シリーズ、若き教皇の壮大ドラマ、藤井聡太二冠、The Kinks開眼、ドミニク・カミングス辞職」

■11月9日~11日(水):TBSラジオ『オーディオムービー『つけ火の村』2~4話

4.0 out of 5.0 stars

書籍『つけびの村』(高橋ユキ著、限界集落で起こった山口連続殺人放火事件を取材したノンフィクション本)をもとにした、フィクション・オーディオドラマ。この作品の更新が楽しみになっている。

まず音楽がこわーーい! 夜ひとりでは絶対聴けない。なのでわたしは、ジョギングするときの「楽しみ」に聴くことにしました。

全6回だそうなので、あと2回。この配信がある限り、ノロノロジョギングが続けられる気がしています。

音だけのドラマ、初めて聞いたのですが、頭の中で絵が想像しながら聴く分、妄想力は倍層します。なかなかいいです。今後、はまりそうです。

■11月9日(月):BBC『Nigella’s Cook, Eat, Repeat』エピソード1

3.0 out of 5.0 stars

超美人料理家ナイジェラ・ローソン様の大ファンのわたくし。簡単なのに美味しいレシピを、ずいぶんとナイジェラ様から学びました。

ほとんどのナイジェラ様の番組をリアルタイムでは見ていないのですが、ネットで配信されている10年以上前の番組を何度繰り返しみたでしょう。

というわけで、ファンを自称する割には、実はリアルタイムでナイジェラ様のシリーズを見るのは初なのです。それだけに期待してたんですが…。

うーん…なんていうか…。ちょっと微妙…。

ダイナマイトな美女っぷりは変わらず。声に凄味が出たのはプラス。

でも問題はお料理。1品目はバングラディッシュ料理をアレンジしたものだったけど、いきなりフィッシュフィンファーを潰して作るって、なんか荒長治過ぎない!?

ちなみに、フィッシュフィンガー(↓)とは、イギリスの冷凍食品の定番、魚のフライです。指でつまめる長細いサイズなのが特徴です。

よく炒めた玉ねぎとこちらのフィッシュフィンガーを潰して、赤玉ねぎを散らした料理何ですが…

赤玉ねぎ効果で美味しそうに見えなくもないけど、映像で見るとかなり微妙…。

他にも韓国のコチュジャン使ったパスタとか、タヒニ(中東のゴマペースト)を使ったチョコレートケーキとか、どことなくエキゾチシズムを漂わせようとしているのは分かるんだけど、何か全然美味しくなさそうなんですが。

以前は定番料理を簡単&美味しく!がテーマだったように感じてますが、最近のナイジェラ様のテーマは「エキゾチック♡」なのかしらん。でも美味しさが伝わらないと、どんなに興味深くても皆、作らないよねえ。

新刊本とこのシリーズは同じ『Cook, Eat & Repeat(料理して、食べて、リピートして)』というタイトル。相乗効果&広告の香りがプンプン漂うのもなんていうか…。

変化球料理が面白い、という観点で見れば、面白い番組なのかもですが。もうちょっと見てみます。

語り口の切れ味も減少気味な気も。うーん、どうしちゃったのかなあ、ナイジェラ様…。

■11月11日(水):HBOドラマ『ヤング・ポープ 美しき異端児』一気に再視聴

4.5 out of 5.0 stars

イギリスで配信されたときに既に視聴したのですが、仕事で再視聴することに。

基本はそこそこのおじいさん就任することが多い、カトリック教会の頂点職・ローマ教皇。ドラマではその教皇に、若くてイケメン、しかもアメリカ人(注:現実にはアメリカ出身のローマ教皇はまだいません)が就任してしまった…という物語。若いからコントロールが可能かと思った枢機卿たちだけれど、いやはやこの若きパパ様(ローマ教皇の日本語ニックネームは“パパ様”)、性格悪そうな上に何だかちょっと嫌な奴。

豪華な衣装も素晴らしい! 底意地悪そうな美しきパパ様ジュード・ロウが好演しています。悲しい過去を抱え、憂いを帯びつつもすんごいカリスマ性のある教皇。ジュード・ロウはまさにはまり役です。

オープニングのカッコ良さ、そして物語が壮大でどこに行っちゃうか分からん点も、素晴らしい!

改めて、秀作だなあと。続編『New Pope』も見なくちゃ。

■11月12日(木):テレメンタリー『バラマキの果てに ~河井事件 混乱の広島~』

4.0 out of 5.0 stars

テレメンタリーは昔よく見ていたけど、最近ご無沙汰だった。追っかけ再開。今日は河井夫妻の現金バラマキ事件について、地元を取材したこの番組を視聴。

昨年7月、妻・河井案里被告の参議院選に際し、広島県内の地方議員や首長、後援会会員ら100人に計2901万円がばらまかれた事件。自民党から5回に分けて夫妻に支払われた1億5000万円が原資なのか? こんな古典的?とも言えるバラマキはどこからの指示なのか?で政権が吹っ飛びそうな事件だけど、このテレメンタリーでは、受け取った方の言い分を取材しています。

受け取った人たちに同情する気はないのだけれど、市議会関係者&講演会の人たちにとって「国政のセンセー」から直接渡された現金封筒を「もらえません」と突っ返すのは難しいのは分からないではないなあと。

短い番組なので焦点を絞った点は良かったけれど、1億5000万円が原資なのか? 続編作って誰の指示なのか?についても切り込んでほしいです。

■11月13日(金):NHKスペシャル『藤井聡太二冠 新たな盤上の物語』

5.0 out of 5.0 stars

将棋はまったくできないのに、将棋周りのことが好き&興味があります。将棋マンガも結構読んでます。そしてちょっと前ですが、ロンドンの将棋グループの取材なんかもしたことありました。

将棋関連ドキュメンタリーは対局シーンの解説はチンプンカンプンなのに、欠かさずみてます。

本日はこちらを視聴。

将棋界の大スターの藤井君ですが、話し方がどんどん羽生さんに似てきている…という、フツーの感想ですみません。

それからもう1つフツーの感想。子供時代にステージ上で対局し、そーた君は負けてしまいまったんですが、あまりに悲しくて落ち込んでしまい、立っているのがやっとぐらいにうなだれてしまうのです。その様子が(↓下のツイ画像の右上のです)、本当に可愛すぎます。

同じ映像、3回も映りました。

でも3回映ったのにはわけがあります。このぐらい昔から、将棋に夢中だったんだなあと、凄く納得する映像だったからです。

藤井二冠が脳内でどう棋譜を読んでいるのかは、本人も言葉で表すのが難しいことも番組から伝わってきます。

こんなに若くして二冠。すごいのに、ちゃんと低姿勢にできてるのは、親と師匠が素晴らしいのでしょうねえ…と、どこまでもフツーの感想ですみません。

フツーの努力とフツーの生活の積み重ねで、凄い偉業が生まれるわけで。でも偉くなったからといって、人は尊大な態度をとっていいわけではないのですよねえ。そんな人になりそうもない小市民ですが、大切なことを恐るべき子供である10代の神童から学びました。

良い番組でした。

■11月14日(土):The Kinksにいまさら開眼『Get Back in the Line』

5.0 out of 5.0 stars

この数年、うちのキッチンではかなりの頻度でThe Kinksの曲が掛かっています。それは夫のヒトがキッチンでSpotifyかYoutubeで音楽を流すのですが、Spotify様とYoutube様が夫のヒトの音楽の好みを把握していらっしゃいますんで、勝手にどんどこ流すなかに必ずThe Kinksをブチ込んでくるからです。

私はThe Kinksのことはバンド名しか知らず、バンド名と曲名の紐づけができないまま、何度も繰り返しThe Kinksの曲を聴き続け、いいなあと思うたびにバンド名と曲名を夫のヒトに尋ね、「えっ、これってストーンズじゃなかったの?」とか同じことを何年にも渡り言い続けてきたわけです。

↓だってこの曲『All day and all of the night』なんて、音はストーンズっぽいじゃないですか~。でも見かけはビートルズみたいなのですが。

…という数年を経て、本日、本気で開眼しました。

きっかけとなった曲は『Get Back in the Line』。ちょっとセンチメンタルな曲調で「いいな~」と思っては同じ質問をし続けてきたんですが、これって職安に並ぶ青年の哀愁についての曲なんです。詩を読んで、ガツンと来ました。

日雇い労働者が職にありつくために長い列に並んでいる曲なのです。組合スタッフが今日の仕事をくれるかどうかが「生きるか死ぬか」。スタッフが通り過ぎてしまったら、また長い列に並びなおさないとならない…そんな曲。

コロナ禍で、これから失業がどんどこ増え、不況になる前に染みる曲です。

1960年代~1970年代に掛けて発表された曲を聴いていますが、当時のイギリスの時代が伝わってくると同時に、実はイギリスって全然変わっていないことも分かります。

The Kinksって、今だから聞きたい曲なのだと思いました。この辺、少しずつ突っ込みます。今日はわたくしのThe Kinks記念日でした。

■11月15日(日):BBC『Taking Control: The Dominic Cummings Story』

4.0 out of 5.0 stars

今週はジョンソン首相を支える2人の官邸スタッフが次々辞職を表明したので、イギリスは大きな話題になっています。中でも、EU離脱の国民投票の際に離脱派キャンペーンを率いた人物であり、首相アドバイザーを務めていたドミニク・カミングスが辞めることになったことはビッグニュースだったのです。彼は危険なレベルの極右思考であるとされていましたが、ジョンソン首相は彼を頼り切りでした。しかし保守党内からも批判が高まったこともあり、官邸内がグチョグチョに。やっと辞めたわけです(と理解しています)。

わたくし、カミングスのことは大嫌いですが、でも知らないと批判もできませんよね。ということで、今年3月に放送されたBBCのドキュメンタリー『コントロールするということ:ドミニク・カミングスの物語』をやっと視聴。

ずっと見なくちゃと思っていたけれど、カミングスの顔を見るのが嫌で、先送りしていました。官邸も去り、暫くは表から消えてくれそうなのでこのタイミングで見ることに。

3月放送なので、その後コロナ禍で起こった彼の「ルール違反スキャンダル」には触れていません。BBCは一応中立な立場での報道を旨としていると思うのですが、このドキュに関してはそこそこカミングスに対して辛辣。彼が頭が切れる人物であることは知られていますが、あまり知られていない「挫折」についてもきっちり伝えています。

彼にとって政治はたぶんおもちゃ。政治は人の暮らしを支え、守り、よくするためのもののはず。でもカミングスはそんなことちょこっとも考えてないんだろうなあと。自分の思想が政治の場で実現できるかどうかのゲームなのでしょう。恐ろしい。もう2度と政治の表舞台に戻ってこないでほしいです。

カミングスについては日本では「英国のラスプーチン」と報道されていて笑ってしまいましたが、そんな感じです(笑)。このドキュメンタリーと、ブレグジットのドラマをセットでみると、いろいろ分かりやすいです。

ブレグジット EU離脱(字幕版)

カミングスについては別記事でまとめようと思います。

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