© matka All rights reserved.

20215/15

【映画のはなし】古本の匂いが映像から漂う『チャーリング・クロス街84番地』(1986年):ネタバレなし

映画レビューです。最近、20年以上前に公開された「ちょっと古め映画」の掘り起こしをしています。
4.5 out of 5
この投稿をInstagramで見る

Nekoyama(@nekoyamakatzenberg)がシェアした投稿

最近、ちょっと古め映画の掘り起こしをしている。若い人が読む媒体に映画記事を書くことがあるが、最近の傾向として「古め映画も好んで見る」若者が多い様子。これは私には好都合だ。

書店について調べているときにこの作品のことを思い出し、再視聴した。本への愛情が詰まりまくった、本好きならきっと誰でも「大好き!」と叫びたくなるような作品だ。

あらすじ:
第二次世界大戦が終わったばかりの1949年。NY在住の作家ヘレーン・ハンフ(アン・バンクロフト)は、NYで英国文学や好みの古書が手に入らないことを嘆いていた。しかしあるとき新聞広告で観たロンドンの古書店に稀覯本を「だめもと」で注文する。すると注文通りの本が、ベテラン店員ヘンリー・ドエル(アンソニー・ホプキンス)の丁寧な手紙と共に届き、ヘレーンは大喜び。以来20年以上に渡りヘレーンとヘンリーのやりとりが始まるが、次第に書店員を巻き込んだ暖かな交流に繋がっていく。

この投稿をInstagramで見る

Basia Antas(@brbr.antas)がシェアした投稿

タイトルの「チャリングクロス街」とは、ロンドンの中心にある「チャリングクロス・ロード」という一本道のこと。古くから書店街として知られ、特に古書店が多いストリートである。ここ10年で特に古書店の数が減ってしまったが、この道にある新刊書店「Foyles」が新装開店して立派になったこともあり、「本屋さんのあるストリート」の名をキープし続けている。

この投稿をInstagramで見る

Peter Ashley(@unmitigatedpete)がシェアした投稿

この投稿をInstagramで見る

𝙻𝚢𝚗𝚍𝚎𝚛𝚜 𝙾𝚗 𝙵𝚒𝚕𝚖 ♡(@lyndersonfilm)がシェアした投稿

コロナ以前、私もこの道をフラフラするのが大好きだった。古書店をちょっと覗いて、その後「Foyles」(↓)で立ち読みし、最後に買った本を「Foyles」のカフェ広げるのが楽しみだった。

この投稿をInstagramで見る

Foyles Bookshop(@foylesforbooks)がシェアした投稿

この映画は、本好きにはたまらん作品だ。メインキャラクターの2人の本愛が溢れまくり、かつロンドンの古書店「マークス商会」の古書の匂いが映画から漂ってくる。

話自体はとてもシンプル。本の注文という「書簡」を通した友情(+友情をやや超えたプラトニック恋愛)の物語。そこに「戦後すぐ」という時代背景がエッセンスになっている。実在の作家であるヘレーン・ハンフが自身の体験をもとに書いた小説を映像化した作品だ。

この投稿をInstagramで見る

Leila(@shortchat_)がシェアした投稿

この投稿をInstagramで見る

cuznli(@truly_cu)がシェアした投稿

私はこの作品を見るまで、戦後数年たってもイギリスの食糧事情が悪く、配給制だったことを知らなかった。片やアメリカはスーパーに行けば何でも買える。同じ戦勝国でもこんなに違う戦後を歩んだのだなあ…と、本筋とはやや逸脱した発見もあった。

またイギリスのライフスタイルが描かれているのも興味深い。ヘンリーがせっせとDIYをしたり、会社で淹れる紅茶の美味しそうな様子、人が集まるときにヘンリーの妻(なんとジュディ・デンチ。この名女優さまが脇役って、驚く…)が作るサンドイッチは、切り方も見た目もまさに「イギリス」。私にとってはロンドンに住みながら知ったことの「答え合わせ」をしているようだった。

↓この映画に登場する「乾燥卵(乾燥全卵)」。初めて知りました…。

この投稿をInstagramで見る

USAPEEC Japan(@usapeec_japan)がシェアした投稿

またロンドンの街並みがあまり変わっていないことにも驚いた。1986年の作品だが、1946年~約20年という設定。田舎の町や室内の風景は、今とほぼ変わらない。なので、この映画を見た方が「昔のイギリス」としてみると、ちょっと違う。バスや車、電気製品のモデルは変わったが、街並みは今も映画と同じ感じの佇まいのままだ。

アン・バンクロフト演じるヘレーンの言葉からあふれる「本愛」と、ページをめくるときにニンマリ微笑む笑顔が良い。その場で一緒に読んでいるような気分になる。この映画を見ると、本を読みたくなるし、本屋に行きたくなるし、ついでに手紙も書きたくなる。

チャーリング・クロス街84番地 (字幕版)

日本では劇場公開されなかったようだが、ビデオ販売はされており、配信でも視聴可能。

再視聴した後は、原作も読みたくなった。

日本語タイトルは『チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本』(中公文庫)。下記↓は表紙が素敵な英語版。

84 Charing Cross Road by Helene Hanff(1905-06-04)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

【podcast125】「在外選挙制度」について話す

マトカの2人は選挙に欠かさず行っていますが、ロンドンに暮らすわたくし、フローレンスは「在外選挙制度」という方法で選挙しています。そこで今回は、「在外選挙制度って何?」について話しました。

【絵葉書通信21】from Yoko in Tokyo

東京で行われていた某スポーツ大会(後半)の最中に書いた陽子さんからのハガキが、このスポーツ大会を1秒も見なかったロンドンのわたくしの元に届…

podcast124

【podcast124】『狐狼の血』『狐狼の血 Level2』を観たので..エンタメの中のバイオレンス表現について話してみる

映画やドラマ、漫画や小説内で描かれるバイオレンス表現。先日映画『狐狼の血』『狐狼の血 Level2』を視聴して、改めて自分の中でどんなバイオレンス表現は平気で、思わず目をつぶってしまうような苦手な表現はなんだろう。などと考えたりしていくうちに、そもそもエンタメ内のバイオレンスはなんのために描かれるのか?について思いを巡らしてみたので、フローレンスさんとあれこれ話してみました。

『狐狼の血 Level2』

20219/13

東映映画『狐狼の血』『狐狼の血 Level2』一気見感想(ネタバレなし)

「カチコミじゃー!」怒号が飛び交うヤクザ映画。「カチコミ」とはヤクザが敵対組織に襲撃することであるが、単にスクリーン内のことではない。『狐狼の血』『狐狼の血 Level2』の映画(の制作)自体がすっかり「牙」を抜かれた日本映画界への「カチコミ」なのである。

podcast123

【podcast123】皇室プリンセス結婚報道について「あーだこーだ」楽しく話す

こんにちは。ロンドン在住のフローレンス22世です。 地球の反対側に暮らす ロンドン在住の「フローレンス22世」と東京在住「豊里耳(と…

ページ上部へ戻る