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【遠くに暮らす、両親のこと:日報】点滴だけの日々(10月16日26日)

*【遠くに暮らす、両親のこと(高齢者の環境/医療/介護)】
日本の地方の街に住む80代&70代の両親にやってきた老後。遠い国(イギリス)に住む私に何ができるのか? これから両親のこと、高齢者を取り巻く環境や医療、介護のことについて考えながら書いていきたいと思います。

※【読んでくださる皆さまへ】今回の記事には難病患者の方やそのご家族が読んで不快に思われる可能性のある記述があります。記事によってそのような思いをなさることはもちろん筆者の意図するところではありません。しかし正直な思いを書くため、悩んだ末に「不快に思われる可能性があるかもしれない」と思う記述も残しました。この点ご理解くださいましたら幸いです。

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【2018年10月16日】点滴だけの日々

前回書いた「告知」からもう1カ月たってしまった。9月末に日本に戻ったものの、それからの日々は壮絶で毎日が長くて短い。病院に通うか役所に通うか、その2択なのだが、日々は同じようでいて全く違う。毎日のことを日記として残しておこうと思いつつ、書くのもつらく、時間もなく…の毎日だった。

帰国した当初は何とか飲み込みやすいものを選んで食事を取っていた父。1つ1つ食べられないものが増えていったが、当時はおかゆ、ヨーグルト、そしてそうめんだけは何とか食べていた。そうめんは2種。普通のそうめん汁につけて食べるか、マヨネーズと和えたパスタサラダ風の「そうめんサラダ」。毎朝母が早起きして丁寧に作り、昼食と夕食に食べさせていた。

しかしまずヨーグルトがのどひっかかるようになり、お粥も食べづらくなり、そしてそうめんも食べられなくなった。ヨーグルトはすでに水が飲み込めない父にとっては錠剤を飲みこむための命綱だったのだが、それがダメになったのはショックだった。点滴に入れられる薬はそうしてもらい、粒子の細かい薬は口の粘膜から吸収してくれることを期待して口に入れる。飲めない薬は諦めることになった。

そして先週、とうとう何も食べなくなった。

胃ろうは本人が嫌がっただけでなく体力的にもう無理と医師が判断。経鼻経管栄養(鼻にチューブを入れ、栄養や薬を入れる)については何度も医師が説明した上で父が判断してやらないことになった。医師は何度もベッド際にきてチューブを入れることの良い点と悪い点を話し、本人の意思を確認した。父がどうしてもいやだと言ったので意思を尊重した。点滴だけは合意した。

今は点滴からの栄養だけで生きている。

毎日病院に通っているが、吸引の壮絶さを見るのが1番辛い。多いときは1日10回以上。比較的穏やかな日でも7回ぐらいは吸引している。そのたびに動かないはずの体をくねらせて苦しがり、声が出せないのに喉元からの唸りのようなものを絞り出す。あれだけ苦しがる患者を前にそれでも優しい言葉を掛けつつ一緒に格闘して吸引を続けてくれる看護師さんたちに頭が下がる。私は手を握っているだけで、父が悶絶しながら苦しむ姿を真正面から見られない。

30分ほど前にかなり厳しい吸引を終え、疲れ切った父。今は目を閉じてウトウトしている。この穏やかな時間が長く続けばいいのにと思うけれど、またあと1時間後には胸にゼロゼロと音がなり、吸引の時間が近づく。

1回1回の格闘を繰り返し、日々が過ぎていく。

【2018年10月26日】緩和ケア

毎日この日報を書こうと思っているのに、あっという間に10日経過してしまった。そういう意味では日々は早く過ぎ去っているのだと思うが、病院で過ごす時間が流れる速度は1日に何度も波がある。

父が苦しくてのたうちまわっている時間はなかなか過ぎ去らない。逆にトイレに行くための手伝いをしたり、顔を拭いたり、医師や看護師が見てくださっている等の動きが重なるときは早い。あっという間に夜になる。

先週、壮絶な数日間があった。1分1秒、生きているのが苦しいほどの苦しみで、母と私にとっても拷問のような時間だった。その時は苦しい時間が早く去ってほしいと思う反面、1秒1秒が父にとっては貴重だという思いもよぎった。

先週から医師たちが試行錯誤の上で緩和ケアに取り組んでくれている。数日間はうまくいかず苦しんだがここ数日は穏やかな時間もある。

このまま穏やかな時間が続いてほしい。

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