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20212/24

【ドキュメンタリー】『Framing Britney Spears(ブリトニー・スピアーズを描く)』毒父VSブリちゃんの戦い(少々ネタバレ有)

TOP画像:『Guardian』オンライン版のキャプチャ画像より。© 2021 Guardian News & Media Limited / Framing Britney Spears. Photograph: Sky

ドキュメンタリー作品が大好きです。ものすごい本数見ているので、「ドキュメンタリー愛好家」を名乗ることにしました。これまでに見て心に残ったドキュメンタリー作品を紹介・記録するアーカイブ。素晴らしすぎて書かずにいられない作品を書き留めます。日本とイギリスの作品が多いですが、国を問わずどん欲に見ています。

※現在この作品は日本未配信です。下記、ややネタバレしているのでご注意下さい。

3.5 out of 5

どうも私はブリトニー・スピアーズ(以下ブリちゃん)が好きらしい。積極的に彼女を追ってるわけではないのだが、Youtubeを見てると時々&偶然『Baby One More Time』のPVに行き当たる。そのたびにちゃんと手を止めて見ちゃうのはなぜなのか?(笑)

…と書きつつ、リンクするために改めてこの動画を見たのだが、たぶん私はブリちゃんというより、このキャッチーなビデオが好きらしい(笑)。

そんなわけで特に応援しているわけでもなく、このデビュー曲以外はブリちゃんのことをあまり知らないワタクシ。でも大スターになってもどこかオボこい彼女に好感が持てることもあり、数年に一度話題を振りまくたびにまあまあググったりしている。

やっぱり好きなのかな、ブリちゃんのこと(笑)。

さて今年もその「数年に1度」のタイミングがやってきた。昨年から大きく報道されているブリちゃんの「成年後見制度(Conservatorship)」、「#FreeBritney」 キャンペーン、そして今年2月に配信開始されたばかりのブリちゃんのドキュメンタリー『Framing Britney Spears(ブリトニー・スピアーズを描く)』が大きな話題だからだ。

↑『Framing Britney Spears(ブリトニー・スピアーズを描く)』オフィシャル予告編

この作品はThe New York Timeが製作。アメリカでは2021年2月5日にHuluとFXで配信され、イギリスではSky系列で2月11日から配信されている。

タイトルに使われている『Framing』という単語にはいろんな意味がある。「形作る」「撮影する」「枠にはめる」と言った意味から「濡れ衣を着せる」という意味まである。このタイトルには、ブリちゃんがスターになるまでの軌跡を描くと共に、父と成人後見制度に囚われている…という意味が込められているのだと思う。

===※ここからネタバレ有の記述です。ご注意下さい。===

さてこの作品の内容だが、
前半:ブリちゃんがスターになるまでの割と険しい道のり(母と娘の苦労話)
中盤:大スターになってから起こった大変な事いろいろ(結婚・離婚、メンタル崩しなど)
後半:父を後見人から外すためのブリちゃんによる戦い
を描いたドキュメンタリーである。

ブリちゃんは大スターになった後、恋愛したり、破局したり(有名なのはジャスティン・ティンバーレイク)、結婚したり(1日ベガス婚とかもあった)、出産したり、離婚したり、子供の親権をめぐって元夫と戦ったり、精神的に不調となって入院したり、子を膝にのせて運転して警察沙汰になったり、ショーをドタキャンしたり等々、たーくさんのことがあった。

スターって大変。セレブが正気でいるのは大変なのことなのだと改めて思う。

2007年ぐらいからかな~り壊れ気味&荒れ気味だったブリちゃん。2008年1月に救急搬送されたことをきっかけに、裁判所はブリちゃんを父親のジェイミー・スピアーズ氏(と弁護士のアンドリュー・ウォレット氏)の管理下に置くことを命令した。「成年後見制度」が適用され、父にブリちゃんに対する完全な管理権を与えたのだ。

↑左のお方がブリちゃんの父・ジェイミー・スピアーズ氏。

ブリちゃんは莫大な財産を持ち、何もしてなくても日々ガンガン稼いでいるわけなのだが、このときからブリちゃんは自分では何も決められず、お金も使えなくなってしまった。資産管理からキャリアの方向性、健康上の決断も含め、父ジェミー氏がぜーんぶ決めることとなったのである。

ドキュメンタリーによると、父が後見人になった直後から、ブリちゃんはやったらめったら働きだす。具合が良くなったのなら良いが、「働かされてるの…?」と一瞬思うシーンである。元気に活動を開始したこの時期、世の中はブリちゃんのことを「復活したね」と受け止める。

つまり後見人制度の適用当初、父娘仲はそこそこ上手くいっていたのだろう。

===

ここから少しだけ余談。

私はこの2008年の復活劇を記録したMTVのドキュメンタリー『Britney: For the Record』(2008年)をリアルタイムで見たのだが…

↑『Britney: For the Record』の予告編

何やかやと“大袈裟”に世話をやく父ジェイミー氏の姿を見て、いや~な気持ちになった。

↑『Britney: For the Record』の1シーン。ブリちゃんが、父のマネージャーぶりを真似している。まあ、こういう感じで周りに対してボス感振りまいていたんでしょうねえ。

娘のために朝ご飯を作ったりお茶を運んだりしながら、ブリちゃんを大事な商品&スターとして扱う父(この場合、ボスはブリちゃん)。そしてブリちゃんのすべてを掌握する父(ボスは父)。

父娘の間にはゆがんだ上下関係があることが透けて見えるのだが、父の大袈裟なふるまいから、実は父の立場の方が圧倒的に強く、コントロールしているのは父であることがよーく分かるのだ(少なくとも私はそう感じた)。

「やだな、この父…」

とハッキリ思った。

でもこのとき、きっとブリちゃんには父親が必要だったのだろう。映像から、父に対しての嫌悪はあまり見えなかった。そこもちょっとイライラした。

「ブリちゃん、気づけよ!」

と思った。

視聴しながら、キャリア初期に苦楽を共にした「母はどこ行ったの?」とも思った。父ジェイミー氏と母リン氏は2002年に離婚しているが、wikiによると2010年に復縁しているようにも見える。この辺の家族関係は謎。

私のように『Britney: For the Record』を見て「なんか、嫌だわこの父」と思った人は、ブリちゃんが「父を後見人から外してください」と法に訴えたとき、「やっぱりな…」と思ったはずだ。

===

話を『Framing Britney Spears』に戻す。

ドキュメンタリー後半は、心身共に復活したブリちゃんが父親を後見人から外すために起こした裁判について、コアなファンの目線も入れつつ解説している。

ファンはブリちゃんをサポートし、「#FreeBritney (ブリトニーを開放せよ!)」キャンペーンを展開。これは世界的な運動として広がり、現在も話題だ。

2020年11月、カリフォルニア州最高裁判所は「後見人から父ジェイミー氏を完全に除いてほしい」というブリちゃんの要求は退けたものの、後見人にブリちゃんが指名した第三者機関も入れることを決定。つまり後見人は「ブリちゃん父だけ」ではなくなり、父が勝手にすべてを決めることは不可となった。ブリちゃんが「ちょっとだけ勝利した」というところで作品は終わる。

===

この作品で「成年後見制度」を知った人は多く、新聞や雑誌でずいぶん特集が組まれた。そうした特集も、このドキュメンタリーの反響も、おおむねブリちゃん寄りの立場のものが多い。

↑ブリちゃんと成年後見制度、そしてこれまでとこれからをかなり詳細に伝えているロンドンの新聞『Evening Standard』のオンライン記事。画像はサイトのキャプチャ。© Evening Standard

この作品は、最近よく目にすることが多くなった「毒親ものがたり」の1つだ。父の姿は映像にそんなに写っていないのに、前半の苦労時代のところから、父の毒親感がぷんぷん香りたち、それが後半増長する。

家族間の問題は家族にしか分からない・知りえない事情もあるだろう。家族の中で誰が本当にブリちゃんの味方なのか分からないが、あまり表に出ない母親が真の見方として毒父と闘ってほしいな…と思った。

ひとりでも強い味方がいれば、戦えるものだから。

とはいえ、「ブリちゃんが本当にどこまで可哀そうなのか?」はちょっと疑問だ。

大豪邸に住み、自分で何にもやらなくてよい生活を若い時から続けている彼女。表に出れば、ドアの開け閉めさえしなくてよいはずだ。

そんな生活をしていたら、感覚はおかしくなるのも当然。しかしそこで踏みとどまり、分別を持ち続ける人もいると思う。ブリちゃんが踏みとどまっているかは…分からない。

「分別のある・なし」の基準は人それぞれだが、人って地位や名誉やお金を手にすると、まともでいるって大変なのね…としみじみ思った作品だった。

そんな立ち位置に私がなることは一生ないのだけど…(笑)

ちなみにブリちゃんの裁判はまだ続くようで、次のヒアリング(公聴会)は3月。ブリちゃんと毒父の戦いは続く。

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