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201910/28

【写真交換日記194】from London「職人への憧れ」

写真を見て「真紅の紅葉!」と思ったのだけど、糸でできてるなんて!

これは…魂震えますね。

何か密集しているものを見ると心がざわめくワタクシですが、糸が織りなす空間…見てみたかったです。いつか塩田千春さんの展示、私も見る機会があったらいいな。

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さて、ワタクシも心震える場所に行ってきました。英国伝統のビスポーク(完全オーダーメード)に靴店として世界に名をとどろかせている靴店「John Lobb」です(既製靴も販売している、エルメス・グループの方のJohn Lobbではありません)。ロイヤルワラント(王室御用達)ホルダーとしても知られております。

ここで職人をしている日本人の友人がいるので、実は何度も工房にいれてもらっているのですが、何度来ても独特の雰囲気に見とれ、そして工程を説明してもらうたびにため息が出る思いがします。

全く手を抜くことなく1つ1つの工程を伝統の手法のままやっている。それは「各々の工程が存在する理由があるから」なのだと、当たり前のことを改めて思い知らされます。友人の丁寧な説明で、プロセスがよく分かるのです。

木型(ラスト)から起こした型紙。何枚もの型紙を重ねて革がカットされます。靴は大変複雑な構造でできていると改めて分かりました。

John Lobbの圧倒的に素晴らしい職人技を見て自分のことを考えるのは申し訳ないけれど、ワタクシも手芸が好きで手作業が好きなだけに、技術で勝負する職人に本当に憧れます。そして糸を通したり、ミシンを踏んだり、トンカチで打ち付けたりするその作業をずっとずっと見ていたい…と毎回繰り返し思うのです。

古いシンガーミシン。現役で使われています。
佇まいも素敵です。

どの世界にもその世界にだからこそある厳しさ、辛さ、挑戦があります。私の世界の大変さと靴職人のそれは異なるけれど、細かな1つ1つの作業と技術について聞きながら、日ごろ私が感じている「なかなか先に進めない難しさ」も思い出しました。

木型の収納棚。圧巻の眺めです。

工房を案内してもらっていると、かなり興奮しているというのに、何だかとても落ち着いた気持ちにもなります。脳内に革に糸を通したり、ミシンを掛けたりする作業が焼き付き、私も「1つ1つの仕事を明日も頑張ろう」と言う気持になるのです。毎回のことなのですが。

John Lobbのビスポーク靴、私が生涯頑張っても買えなそうです(涙)。でも素敵な靴をいつか買える事を夢見て。

故ダイアナ妃の木型。亡くなった方の木型にはまだぬくもりがあるような、もうこの世にいないことが不思議なような、そんな気持ちになります。

また明日も頑張ります。

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