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【Brexit日記】とうとうこの日がやってきた
2016年6月23日から3年半。とうとう今晩23時にイギリスはEUを離脱する。
私にとっては「離脱する」というより「離脱して“しまう”のか…」という思いだ。
何度もここで書いているが、約20年前、恐る恐るイギリスで暮らし始めたとき、驚いたことの1つが「ヨーロッパの近さ」だった。
私はイギリスに来たんじゃなくて「ヨーロッパ」に来たんだ。
大きな発見だった。
こう思った理由はいろいろだが、もっとも強烈だったのは 人々があまりに気楽に、そして身軽に欧州間を行き来していることだった。 欧州各国行きのフライトチケットはとても安い。
日本→韓国はとても近いけれど「海外旅行」と言う印象が強かった。でもイギリスからフランス、ベルギー、オランダぐらいまでは「ちょっとそこまで」な感覚だ。ちょっと足を延ばしたドイツやイタリアでも、感覚的には「東京から青森」ぐらいの気楽さだ。
ホリデーのために生きているイギリス人は本当によく旅行に行くが、欧州圏内だったら「ちょっと行ってきた」みたいな言い方だ。EU人(EU加盟国の国民)であれば、移動にパスポートも不要だ。
EU人でもない私だが、そういった1つ1つの驚きがありつつのこの20年を思い出し、今朝はちょっと感傷的な気持ちになっている。
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23時にEUは離脱するが、すぐに何かが変わるわけではない。年内は「移行期間」なので、12月31日までは基本は今までと同じだ。
移行期間中に、各EU加盟国と通商条約を結び、またEUとさらに詳細を詰めるのだが…11カ月(交渉は3月からなので実質10カ月)でちゃんと交渉が完了するのか?というのは…多分無理、というのが現状の見通し。
「移行期間が短いのだったら、また延期すればいいんじゃないの?」
ところがそうもいかないのである。
移行期間中はイギリスはこれまで同様EUに供託金を支払い、そして欧州司法裁判所のルールに従わなくてはならない。
しかし「離脱」したのだから、もう欧州議会にイギリスからの議員はいないし、EUのルールに何も口出しできない。
だから移行期間が長いと困ると考えたボリス・ジョンソン首相は「ブレグジット法(欧州連合(EU)離脱協定を法制化するための関連法)」に「移行期間は延長しない」ことを盛り込んだ。(こちらに詳しく書かれています)。
あと11カ月、何が起こるんだろう。どんな取り決めがされるんだろう?
誰も分からない。
今日は国会前の広場で、ブレグジット党がパーティーをするらしい。
↑1月29日、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ、欧州議会での最後のスピーチ。
「あなたはポピュリズムを嫌悪しているかもしれない。でも実際のところ、ポピュリズムはポピュラーになっている(=支持する人が増えている)んですよ」
かなり下品な軽蔑すべきスピーチと行為(欧州議会で英国旗を振る)だが、この一言は現状を表しているなと思った。
EU人でもないのに、こんなに「やれやれ」な気持ちになるのはなぜなのだろう?
EUという壮大な実験は失敗だったのかは分からないが、今日1か所はほころぶ。この後続くものを、しっかり見つめて過ごそうと思う。きっと後世に語られる歴史的な時期のはずなので。
今日は近所のドイツ系激安スーパーで買った、深入りイタリアンローストでいれたコーヒーを飲んでいる。
激安スーパーも、移行期間後、きっと値上がりする。激安じゃなくなる。
美味しいのにものすごく安くて助かっているこのコーヒー。いつまで味わえるのかな。
今日のコーヒーは苦いなあ。
Top Photo by Lāsma Artmane
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