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『TENET テネット』 [順行視聴前]の方向け ネタバレなしのレビュー
「バットマン」シリーズ、「インセプション」「ダンケルク」など数々のヒット映画を手掛けてきたクリストファー・ノーラン監督の集大成『TENET テネット』。ノーラン監督のタイムSFもの+ジョン・デイビッド・ワシントン主演(『ブラック・クランズマン』ですっかりファンに)公開前から期待が膨らむばかりだったのだが、どれだけ期待しても、私の「期待」なんて当然はるかに超えてくる今までにない映画だった。
非常(非情)なまでにリアルなSF映画
5.0 out of 5.0 starsSF映画と言うと、SFならではのファンタジー要素があり、どこか現実離れしたところで楽しむものではあるけれど、『TENET』は「超絶リアルなSF映画」という印象だ。鑑賞前の方も時間を逆行する映画ということはご存知だと思うが、よくある「タイムトラベル」とは異なり、あるポイントを狙って時空間を行き来出来るわけではない。単に「逆行」できるだけだ。14日前に戻るには14日かけなければ戻れない。逆行している間は全てが逆なので、息も吸えない。そして歳が若返るわけじゃないので、逆行してもその分歳をとる。決定的なのは、劇中セリフ「What’s happened, happened.」起こったことは変えられないということだ。タイムトラベルで語られる「祖父殺しのパラドックス」、それがこの作品でも語られている。
「逆行」こそが、今現在はありえないSF要素ではあるが、実は将来可能性がないことはないところが、リアルだ。物理苦手(赤点)なので詳しくは説明できないが、エントロピーの増大則こそが時間が前に進んでいることの証明であることに対し、エントロピー減少する事例もあることは現実の研究でも証明されている。だから、「タイムトラベル」は実現不可能と言われているが、「時間の逆行」であれば、アルゴリズムが開発される可能性は0ではないと思えてくる。それに、壊滅的な環境汚染(第三次世界大戦の原因)やロシアの原子力事故など現実感のある設定も含まれている。
そして、設定だけでなく撮影方法もCGを使わず、実写にこだわるノーラン監督。普段CGを見慣れていると、リアルな映像というだけでなぜか圧倒され胸が動悸する。必ず映画館で観なくてはと思わせる映画で、コロナで長らく映画館に行けなかった観客に「これこそが映画の魅力だ!」と感じさせてくれる。
総合芸術、映画の魅力満載!必ず観客はのみこまれる!
私が2回鑑賞したが、2回とも鑑賞中時を忘れて(劇中の「時」にはすごく集中しているのだけれど)、実際確認できないが瞳孔が開きっぱなしになっていたと思う。ここまでのみこまれる体験は久々で、それは映画の魅力そのものだった。
撮影スケールの大きさ、ロケ地の素晴らしさ、ジョン・デイビッド・ワシントンをはじめとする俳優陣の演技。主人公を演じるデイビッドは元アメリカンフットボール選手なので、アクションシーンも難なくやりこなしていて、「鍛えられた優秀なスパイ」の説得力もさることながら、自然な演技が映画のリアリティを高めていたと思う。一方主人公の任務を手伝う相棒ニール役のロバート・パティンソン。謎めいた存在ながらも親しみ感のある、どこか憂いのある演技が観客の想像力を掻き立てる。
また、衣装(仕立ての良いスーツなど)・小道具(絵画など)・大道具(ヨットや車、飛行機など)の豊さ、そしてなんと言っても音楽!作曲はスウェーデン出身の映画作曲家ルートヴィッヒ・ヨーランソン。最初から最後まで、一からシーンにあわせて作曲されたサウンドデザイン(パンフレットより)が、あまりにもピッタリハマっており、(邪魔に感じるような)過度な装飾もなく、ただただシーンをひきたてていく。
全ての要素が別世界に観客を連れて行き、観客は興奮しながら渦にのみこまれる。『TENET』はそんな総合芸術の真骨頂を見せてくれる映画だ。
劇中で「Don’t try to understand it. Feel it.」というセリフがあるが、ギミックに囚われすぎず、まずは映画のエンターテイメント性そのものを楽しむに限る。とはいえ、インパクトのある映像体験が脳裏に焼き付いたり、順行・逆行の仕組みをずっと考え続けたり、観た後何日かは『TENET』熱にうなされる可能性があるので、ご注意を。そして絶対にもう一度観たくなる。
観賞後はぜひ『TENET テネット』[視聴後逆行からの順行]の方向け ネタバレありのレビューを読んでみていただけたら嬉しいです。

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