© matka All rights reserved.

20186/20

前のめりでスキップ(ロンドン日報)「増える帽子と母」by hanako

※【前のめりでスキップ(ロンドン日報)】
かなりせっかちで前のめり。急がば周れないばかりか、地団駄踏んで転んでる。プリプリ怒って日が暮れる。そんなハナコのロンドン暮らしの絵日記。あまりロンドンぽくなくてすいません。

母はずっと働いていた人だったので、10数年前に仕事を引退したときはまあまあ嬉しかったんじゃないかと思っていた。しかし、引退してから数年経ったころからせっせと手仕事(手芸)をはじめた。

日々は忙しく過ぎていく。今は父が病気だし、母自身も昨年ガンの手術をしたので各種病院への通院も忙しい。父の嚥下が難しくなってきたこともあって、食事や日々の動作のサポートも大変になってきた。暇どころか仕事をしていた頃より忙しいのではないだろうか? 時々自身も疲れて横になったりしているようだが、そうすると父が心配するからと、元気そうに頑張っている。私は遠くにいるので日々の手伝いができないことに罪悪感を感じているが、「2人で気楽にやっているから」「ハナコが帰ってくると、ペース変わっちゃうから(帰ってこないで)」とあまりヘルプを求めない。

そんな多忙な毎日なのに、母の手仕事のペースが加速している。目が悪くなってきてミシンを使うのが怖いらしく、編み物の方が得意。編めるものだったらなんでも編む。手袋、マフラー、レッグウォーマー、手提げ、帽子などいろいろ。私の日々の生活で身に着ける、かなり多くのものが母の手編みだ。なかなかセンスが良く「何でもオーダーして」というので、「こんなのほしい」とよくリクエストしている。するといろいろ工夫したうえでリクエスト通りのものを編んでくれる。海を渡って、母手作りのいろいろが定期的に届いている。

ここ数年、私は帽子なしで外出することがあまりない。秋~春はベレー帽。夏はつばのついた麦わら帽子。今はいろんな素材の手芸用品がでているので、麦わら帽子も毎年母の手作りのものをかぶっている。帽子なしで外出するのが違和感なほどだ。

毎年大量に編まれ、大量に送られてくる帽子たち。1つ1つ似ているようで、ちょっとずつ違う。気温や日差し、洋服に合わせて別のものを選ぶのも外出時の楽しみになっている。とはいえ、被る私は1人なのに、棚に鎮座して被られるのを待っている帽子たちが多すぎる…。その数、20個以上。棚だけ見ると、まるで小さな帽子屋のようだ。出番のない帽子たちが時に不憫に思うほど。

「無理して頑張って編まなくていいよー」と言っても、せっせと「快速編み機」のように製作する母。毎晩テレビを見ながら、手を止めることなくずっと編み続けているらしい。そうやって一生懸命、忙しく、ずっと働いて生きてきた人なんだなあ…と思う。もしくは編み物に集中している時間が、母の癒しの時間にもなっているのだろうか? そうだったらいいのだけれど。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

【podcast245】イギリスの大掃除の季節は「春」その理由とは?

地球の反対側に暮らす イギリス在住の「フローレンス22世」と日本在住「豊里耳(とよさと みみ)」。 2人がぐるっと電話でつながりアレコレ話…

podcast244

【podcast244】NHK大河ドラマ「光る君へ」と連続テレビ小説「虎に翼」、2人の女性がどう活躍していくかに期待

平安時代の紫式部が主人公の大河ドラマ「光る君へ」と女性初の弁護士となった三淵嘉子さんがモデルの連続テレビ小説「虎に翼」、時代は違えどどちらも女性が男性社会で活躍するドラマという点で共通しているかと思います。

【podcast243】半分失業。そこから始めた実験について。

地球の反対側に暮らす イギリス在住の「フローレンス22世」と日本在住「豊里耳(とよさと みみ)」。 2人がぐるっと電話でつながりアレコレ話…

20244/2

【おいしいもの in London】最高のブリティッシュ・ビーフパイ- Canton Arms, Stockwell, London

ガストロパブとは、「食事もできるパブ」のことです。ロンドンのおいしいガストロパブは東と北に集中しがちですが、ここは中心部からやや南。南の地域でもっとも有名なガストロパブです。

podcast242

【podcast242】おすすめ映画映画『デューン 砂の惑星PART2』レビュー

普段は映画館で飲み物を飲まない私ですが、この映画を観る前には「なんか喉渇きそう」と思って思わずコーラを買ってしまいました。結果正解。壮大な砂漠シーンが目の前に広がり、没入体験を存分に味わえるこの映画は飲み物必須でした。PART1も含めてあれこれ話してみました。

ページ上部へ戻る