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20205/6

【朝のコーヒー、午後のお茶】『茶色の小びん』の真実

唐突ですが、この曲、ご存知でしょうか?

『茶色の小びん』
アメリカ民謡(作曲:ジョセフ・イーストバーン=ウィナー)
芙龍明子・日本語訳詞

動画がキレイでかわいいので、音源だけのものですがコチラを埋め込みました。


小学生のとき、音楽の教科書に載っていたこの曲。

♪小川のほとりの 小さな小屋(こや)に
♪2人は楽しく 住んでいました

という歌詞で始まる牧歌的な歌。軽快なリズムも良いのだが、好きだった理由はこの歌詞の部分だった。

♪茶色の小びんを 2人でゆすりゃ
♪紅茶に牛乳なんでも出るよ

子どもなので「茶色の小びん」がうまくイメージできないものの、地味な茶色のびんから紅茶や牛乳、そしてジュースもでてくるなんてまるで魔法のびん! 何だか変ちくりんだが、良いものらしい。

余談ですが…温熱ポッドのこと「魔法瓶」って名前つけた人のことも尊敬しています。

小川のほとりに住んでいる、たぶん仲良しの夫婦?らしき人たちがお友だちを招いてお茶会してる歌のよう。テーブルに並べられるケーキやビスケットなんかも想像して、私の中では「おいしそうな歌」としてずっと心に残っていた。

♪リンロンロン・ランリンロン」部分の歌詞の持つコミカルさも好きだった。

Wikipediaによると、この曲は1869年にジョセフ・イーストバーン=ウィナーさんが作った曲だそうで、その後アメリカ民謡として定着。1939年、グレン・ミラー・オーケストラによる軽快なジャズ版が大ヒットし、世界的に知られるようになったとのこと。

創始者のグレン・ミラーは1944年に死去しており、現在のグレン・ミラー・オーケストラは1956年に再結成されたもの、だそうです。

私自身も出会いこそ教科書だったものの、そういえば耳に残っているのはこのグレン・ミラー的な音だ。テレビやラジオ等、いろんなところから耳に入るのはスウィンズ・ジャズ的なノリばかりだったからだ。

さて私はこの曲を美味しそうで優し気で楽し気な歌だと胸に刻み、そこそこ長い年月を生きてきたのだが、ごく最近、びっくりの事実を知ったのだ。

実はこの曲、

酒飲みのダメな男

の歌だったのだ!

以下、1869年版歌詞(コチラを参照)をもとに、訳してみた。

オリジナルの楽譜に忠実に歌ったようです。ポルカ調、と書かれています。ポルカって、雰囲気は分かるけど実際どんなの?と思う方はコチラをご参照ください。

1.
My wife and I lived all alone
In a little log hut we called our own;
She loved gin, and I loved rum,
I tell you what, we’d lots of fun.
ワイフ(妻)とオレは2人暮らし
小さな丸太小屋に住んでいた
ワイフはジン、オレはラム
楽しく飲み明かして暮らしてたのさ

繰り返し:
Ha, ha, ha, you and me,
” Little brown jug” don’t I love thee;
Ha, ha ha, you and me,
” Little brown jug” don’t I love thee.
ハッハッハ! オレとお前
茶色の小びんが大好きさ
ハッハッハ! オレとお前
茶色の小びんが大好きさ

2.
‘Tis you who makes my friends my foes
‘Tis you who makes me wear old clothes
Here you are, so near my nose
Tip her up and down she goes
酒のせいで友は去り
酒のせいでボロを着る
でも酒の匂いをクンクンと嗅いで
グイっとやったら胃の腑に落ちる

… この先もまだまだ歌詞は続く。仕事にも酒瓶を抱えていき、いつも顔は赤ら顔。酒をやめる前に「もう1杯」みたいな、ぐでんぐでんの男の様子が描かれている。

ね、ダメそうな男の歌でしょ?

しかし愉快な曲調の歌なので、そんなダメ男のことも許せてしまう。つまりは明るく楽しい酒のみの歌なのだ。

この曲、「KIRIN 新・一番搾り」のCMに使われていたが、原曲を分かって採用したのだろうか? 「紅茶の歌のはずなのに、なんだかお酒にも合うなあ」と思って聞いていたのだが、そもそもがお酒の歌だったのだから合うに決まっているのである。

これだけあるってことは、人気のシリーズだったんですね…。

オリジナルの歌詞も知ってしまったし、「一番搾り」の映像も刷り込まれてしまったが、私にとってはこの曲はいまだに紅茶の歌だ。「紅茶に牛乳、何でも出る」ドラえもんのポケットみたいな茶色の小びんの楽しい歌。

マグにミルクたっぷりの紅茶を淹れ美味しいビスケットと一緒に食べるとき、いつもこの曲を思い出す。「サクサク」と歯をならすとき、いつも頭のどこかでこの曲が鳴っている。

そしてこの曲を思い出すたびに「♪リンロンロン・ランリンロン」と訳した作詞家・芙龍明子さんのセンスは素晴らしさと才能に感服する。

芙龍明子さん のことを調べようとしたのだが、中学の合唱曲として知られる『夢の世界を』の作詞を手掛けたこと以外、よくわからない。『夢の世界を』については、朝日新聞の記事を参照ください。

そういえば我が家にも1つ、茶色の小びんがある。蚤の市で買ったものでミルク入れにしているのだが、これももしかしたら酒瓶だったのかもしれない。

どちらにしても、何を飲んでも、美味しく、愉快に飲めればそれが何より。

さて、熱々の紅茶を淹れようかな。「茶色の小びん」でミルクもたっぷり、ね。


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