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コロナ禍だからこそのヒット要因?アニメ映画『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の斜め評(ネタバレなし)
コロナ禍の年末の映画館、2作品とも公開からだいぶ経っているというのに、密を避ける1席空けではなくなった劇場の席はほぼ満席に近い状況だった。年末に『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』と『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を遅ればせながら鑑賞してきた。
どちらも前評判の高さは知っていたし、劇場版の前のTVアニメは視聴済みで、クオリティが高いことも確信していたし、楽しみにしていた。どちらも「とてもいい話」だったのだが、期待が大きすぎたのか、没入するほどの感激が薄かった。
何故なのか…?この「とてもいい話」というところに私の「ひねくれ」がピッタリこなかったのかもしれない。どちらも通常のテレビ版では心揺さぶられていたのに…? そう、多分だが、「劇場版」は作り手の気負いが大きい。多数の作品のファンに加えて未見の観客も動員しなければいけない。それまで家で見ることができたものを、観客には劇場まで足をはこんでもらい、お金を払って貰わなければいけない。その結果「作品の満足度=感動の大きさ」という型になってしまうのではないだろうか。
2作品に共通して感じたのは、そのままで甘くて美味しいパンケーキに、生クリームなどをてんこ盛りにするような、ただでさえ感動的なストーリー(原作)を「もっともっと感動させよう!」とする演出だった。そこにピッタリとハマる人は大勢いるし、私だって感動しなかったわけではないけれど、演出の魂胆みたいなもの(特にラスト近く)を感じて少し冷静になってしまったのかもしれない。
とはいえ、2020年12月5日付けで興行収入20億円を突破した、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、2021年1月12日に興行収入357億円突破した『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』。人を惹きつける2作品の魅力について改めて考えてみた。
まず、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、主人公ヴァイオレットの最愛の人(少佐)の生死のわからないまま劇場版へ突入。ファンの共通の想い、「どうかヴァイオレットが少佐に会えますように!」を背負ってのストーリー。でもちゃんと初見(以前のシリーズを見てない)の人にもわかるような作りになっている。
戦争で子供ながら兵器として戦っていたヴァイオレットが、手紙を代理で書く「自動手記人形」の仕事に就き、手紙を代筆しながら様々な人の大切な人への「愛」に触れることで、人間らしさを得て成長してきた、その集大成が劇場版で描かれる。ヴァイオレットの心の成長と共に、仕事を通してひとり立ちしていく姿が丁寧に描かれるのも魅力だ。
テレビ版でも話題になっていた、アニメーションの素晴らしさ。劇場版も自然の風景や人々の表情などの一瞬一瞬の煌めきがとてつもなく美しいアニメーションで描かれ、観客は日常を忘れ、作品世界に心ゆくまで浸かることができたのだと思う。私はドルピーシネマで観て、終始映像に釘付けになった。
そしておそらく作品テーマである「大切な人への想いは、伝えられる時に伝えよう」。人々がお互いいつ会えなくなるか、この世からいなくなるかもかわからないコロナ禍で、このテーマはとてつもなく現実的に響く。そして制作は多くの方が亡くなった、京都アニメーションであったことも。
最後に、すごーく無粋なことはわかってるのだが、戦時下の「愛してる」の「愛」はどの「愛」だったのかなあと…。何でもいいか。

そして、国内興行収入首位を記録した『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』。二子玉川の映画館で鑑賞したのだが、やはり子供も多く、通路を挟んで私の隣の子は3〜4歳ぐらいだった!(バトル演出や鬼怖くないか?など)いろいろ大丈夫なのだろうかという心配をよそに、ポップコーンをパクつきながらじーっと最後まで動かず騒がず観ていて逆にびっくりしたのだが…。
しかし、4歳ぐらいの子が内容を理解するのは難しいだろうと思いながら、もちろん見所である激しいアクションを楽しみつつ、一つだけ子供に刺さるといいなと思ったセリフがある(4歳の子はなんとなくでも…)。それは劇場版のメインキャラクターである煉獄さんの亡くなった母の言葉。
(前略)生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は
その力を世のため人のために使わねばなりません
天から賜りし力で人を傷つけること私腹を肥やすことは許されません
弱き人を助けることは 強く生まれた者の責務です (後略)
出典:鬼滅の刃 8巻64話 吾峠呼世晴 株式会社集英社
はい、もう子供はこれだけ持って帰ってください。という気持ちになった。そしてこんな言葉で諭す母に育てられた煉獄さんの清々しい強さよ。煉獄さんの「正しくハッキリしている」ということに加え、主人公炭治郎の常に人のことを考えている「純度100%の清らかな心(ウユニ塩湖ぽかったな)」がこのモヤモヤしたコロナ禍の解毒剤となって多くの人に効いたのではないだろうか。観客は心の中で「鬼滅」ならぬ「コロナ滅」の気持ちで「無限列車」を終わらせたいのではと思う。
しかし、原作は読んでないのでわからないが、TV版でアニメ私の好きな要素である、元人間である鬼側のストーリーと鬼の思考や悲しみを汲み取る炭治郎や、作品世界から感じる多様性の受け入れなどが、劇場版ではなかったので個人的にはそこが残念だった。
2作品とも、別方向から「コロナ禍」に効いた作品だったと思う。そして、実写映画が作りにくい今、アニメーション映画は2021年もヒットしていくだろう。 話題の公開作品も目白押しだ。すでに現在ヒット公開中の『銀魂 THE FINAL』をはじめ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者』、『美少女戦士セーラームーン Eternal 前編/後編』、『劇場版 名探偵コナン 緋色の弾丸』、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 3』等々。熱すぎるラインナップ!現実が厳しくとも先の楽しみがあるのはいいものだ。

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