© matka All rights reserved.
【今日の云々】渋谷のミントティとコッツウォルズ hanako in London
ワタクシはですね、まあまあの田舎っ子なのです。東京からちょこっと北の方に行った田舎町の住宅街で育ちました。近所に学校なんかもあったし「周りは田畑」とか「夜中になると真っ暗闇」と言うわけではなかったので大自然の中で育ったわけではありません。でも、近所には原っぱもあったし、子供のころは夏休みに林に行ってカブトムシなんかもとっていたので、子供ながらに「ここは田舎だな~」と自覚していました。
中学生ぐらいになると、雑誌『Olive』を読み始めたこともあって都会への憧れが芽生えてきて「雑誌に載っているお店はなんで全部東京なんだ?」と思うようになりました。「都会と田舎には格差があるのではなかろうか?」とか「どうも文化は都会で生まれることになっていのではないか?」的なことをぼんやり考えるようになり、「私も早く都会に出たい」という脱田舎願望が育っていったわけです。
18歳で東京に出てきたときは本当に嬉しかった~~! 銀座とかお台場とか、テレビドラマの舞台が目の前にあることが新鮮で、その辺はまあかなりフツーの子だったんだなあと今更に思います。
初めて渋谷にあるオサレな「フレンチ風カフェ(←今考えると笑ってしまうけど、当時は大変嬉しかったんです)」に行ったときの気持ちは、今でも忘れられません。アイスティーの上にぴろん1枚、ミントの葉っぱが浮いているのが
大砲級の衝撃
で、それは雑誌やテレビや本の中にしかなかった「私の知らない素敵な世界」だったわけです。
お若い世代の方は「なぜにそんなに感激したの?」と思うかもしれません。でも30年ぐらい前の話ですんで、まだまだそんなもんでした。
その後、何度そのお店に通ったことか…(笑)。ぴろっと1枚ミントのために、ずいぶん通いました。
でも考えてみると、そもそも田舎なんてハーブだらけなんです。シソだってミョウガだってハーブと言えばハーブだし、日本ミントなんてものすごく強靭な植物だから、実家の近くの原っぱに自生していたかもしれません。
でも、田舎の原っぱにぼさぼさ生えているミントじゃだめなんですよ。当時は「渋谷のフレンチカフェのアイスティーの上に1枚ひらっと乗っているミント」でないと意味がなかった(爆)。
(余談ですが…当時「カフェ」とは言ってなかった気がします。たぶん「コーヒー屋さん」と言っていた気が…。時代です)
そういう異文化色の強いオサレなモノと圧倒的に都会的なモノにひたすらあこがれた時代でした。
その後、何となく持続し続けていた「都会志向」と「 異文化 モノへの憧れ」にプラスして「どこか遠くに行ってみたい」願望も乗っかり、紆余曲折ののちロンドンまで来てしまったわけですが、最近ふと思うのです。
「私はなぜ、あんなに都会に、そして遠くに行きたかったんだろう?」
このところ日本に住んでいる20代中盤前後の若い世代の人と話をする機会が連続してありました。偶然なのかもしれないけれど、彼らは私同様そこそこの田舎育ちなのですが、かつての私が持っていたような都会志向がまったくない。「適度に東京に遊びに行ったりするので十分」「実家暮らしも楽しいし、生まれ故郷が1番落ち着く」と口々に語ります。
これは世代的なものなのか? それとも世の中が少し変わったということなのか?
ネットが普及し、通販でなんでも買える時代。高校生の頃、学校帰りに駅の本屋で立ち読みするのが好きだったけど、「もっと大きな本屋さんが近くにあったらなあ」とよく思ったものでした。でも今じゃパソコンの中に、巨大な本屋があるわけだし。異なる田舎との付き合い方・向き合い方があるのかもしれない。
最近そんなことをよく考えます。
先日日本からお友達が遊びにきてくれたので、一緒にイギリスを代表する「美しい田舎」コッツウォルズに行ってきました。
イギリス人には「田舎暮らしへの憧れ」が強くあります。これはトレンドとかではなくてずっと昔から「田舎暮らしはいいものだ」という観念のようなものが根付き、受け継がれています。
地平線の向こうまで続く緑の草原や、雲が低く見える風景、野の花の可憐な美しさ。 素晴らしい自然に囲まれた美しい場所だけれど、車がないと絶対住めないし、行くことすら難しい場所です(ウチには車がありません)。
イギリスでも最近は何でもオンラインで買えますが、それでも日本のように配達が正確ではないですし、田舎暮らしは都会にはない大変さももちろんあるでしょう。
でも、本当に美しい。
今またすぐに田舎で暮らしたいかと言うとそういうわけではないのですが、自然の風景や田舎での暮らしを見て、私の考えも変わってきてるなあと感じます。今まあまあの都会に住んでいるからそう思うのかもしれませんが。
「遠くに行きたくて仕方なかったあの頃のことが、少し遠くに感じているんだなあ…」―― 圧倒的に美しい「遠い国の遠い村」の景色と立ち寄ったファームハウスにワサワサと生えているミントを見ながら思いました。
日々は過ぎ、私も歳をとり、世の中も変わり、私の考えも置かれた状況も変っていく。長く生きていると、いろいろ変わっていくもの。変わらず同じものなんて本当に少ない。コッツウォルズへの日帰り小旅行の最中に考えました。
先日公開された、東京ナンバー1リノベーション賃貸<リズム>さんのサイトの連載コラムで、今回訪ねた美しいコッツウォルズについて書きました。
立ち寄ったアンティークショップやオーガニックファームショップ等も含め、紹介しています。
リンクはコチラです。
読んでくださると嬉しいです。
【podcast246】映画「オッペンハイマー」鑑賞後あれこれ考えてしまうので話してみました
アカデミー賞受賞作品は劇場で観ることにしているワタクシですが、クリストファー・ノーラン監督作品でもあって期待大でした。3時間の大作ですが、劇場で鑑賞してその後もあれこれ考えられる、いまだに体験が続いているような映画です。そんなあれこれ考えたことを、イギリスで鑑賞したフローレンスさんと改めて話してみました。
【podcast245】イギリスの大掃除の季節は「春」その理由とは?
地球の反対側に暮らす イギリス在住の「フローレンス22世」と日本在住「豊里耳(とよさと みみ)」。 2人がぐるっと電話でつながりアレコレ話…
【podcast244】NHK大河ドラマ「光る君へ」と連続テレビ小説「虎に翼」、2人の女性がどう活躍していくかに期待
平安時代の紫式部が主人公の大河ドラマ「光る君へ」と女性初の弁護士となった三淵嘉子さんがモデルの連続テレビ小説「虎に翼」、時代は違えどどちらも女性が男性社会で活躍するドラマという点で共通しているかと思います。
【podcast243】半分失業。そこから始めた実験について。
地球の反対側に暮らす イギリス在住の「フローレンス22世」と日本在住「豊里耳(とよさと みみ)」。 2人がぐるっと電話でつながりアレコレ話…
【おいしいもの in London】最高のブリティッシュ・ビーフパイ- Canton Arms, Stockwell, London
ガストロパブとは、「食事もできるパブ」のことです。ロンドンのおいしいガストロパブは東と北に集中しがちですが、ここは中心部からやや南。南の地域でもっとも有名なガストロパブです。