© matka All rights reserved.
今だからこそ、大作にどっぷり浸かる。映画「ファニーとアレクサンデル」
数多ある映画の中には、確実に「観る人を選ぶ映画」が存在すると思う。映画が人を選んでいるような言い回しだけれど、私は違うと思う。観る人の味覚に合わないだけなのだ。観ていて、「耐えられない」といった感覚。私は割と映画に対しては「耐性」があると思っている。それは、週末映画学校に通っていた時、人にとっては「苦行」と捉えかねない実験映画をたくさん観て鍛えられたからかも…。アンディ・ウォーホルの「エンパイア」とかね…(8時間全編ではないですが…面白かったです)。
長尺の映画は内容にかかわらず、「観る人を選ぶ映画」ではあると思う。けれど、もし気になっていて観れていなかった長尺大作映画があるのなら、今が観る時。映画はほとんどが2時間ぐらいの尺だが、倍以上の長さの名作映画がゴロゴロしているのだから。それに、ドラマを12話観ることを考えれば、4,5時間の映画なんて、あっという間なはず!
という訳で、今回おすすめする映画「 ファニーとアレクサンデル 」は、5時間とっても「密」な映画。ポットに紅茶をたっぷり淹れて、お気に入りのカップでじっくり鑑賞。下記はその感想です。
=============
「ファニーとアレクサンデル(Fanny och Alexander)」 1982年
イングマール・ベルイマン監督
最初のシーンから、もう、完璧に美しい。アレクサンデル少年の眼から見た世界が広がっていく。豪華なクリスマスから始まる、ある演劇一族の2年が丁寧に描かれている。イングマール・ベルイマン監督が最後の作品として(実際は最後ではない)、自身の自伝的要素を含めた超大作。オリジナルは5時間を超える。5時間と言っても、プロローグ+5部+エピローグと分れているので、区切って視聴するのもいい。長くても観る者を惹き付けて、画面に釘付けにしてしまう。その要素の一つには、映像の美しさがある。1シーンごとの構図が素晴らしく、目に焼きつくように印象的で、かつ心を揺さぶる情景。そして、役者たち。主人公アレクサンデルの「物語る」目は吸い込まれそうだし、大勢いる登場人物がそれぞれに特徴深い。さらには、緩急あるオカルトなストーリーと、人生哲学。最後のパーティシーンで、アレクサンデルの叔父が「幸せな時間もそうでない時間もあることを、我々は知っている。だからこそ、幸せな時間は楽しもうではないか。」と声高らかに演説する。監督の集大成と呼ばれるこの映画には、たくさんの要素が詰まっている。だが、観る者に物事の本質や洞察を預けるように、サウンドトラックはほぼ皆無で、音楽によって感情を揺さぶられることはない。押し付けがましくもない。余計に情動を煽るような映像が溢れる現実世界で、この映画の5時間を過ごすことは、真に貴重な体験と言える。
【podcast271】2024年「新語・流行語大賞」30の候補 について、あれこれ話す
久しぶりのポッドキャスト、気がつけば2024年も残り少ないので、恒例の「新語・流行語大賞」についてあれこれ斜め目線で話してみました。30候補について話しているのでやや長いですが聴いていただけたら嬉しいです。
【podcast270】20年ぶりの国民審査&10月27日は投票日です。
10月27日はいよいよ衆議院選の投票日ですが… 忘れてはいけない「国民審査」もございます。今回の選挙から、在外投票でも国民審査ができることになりました。
【podcast269】NHK朝ドラ「虎に翼」終わってしまいましたが、まとめ感想。
録音日は次の日がNHKドラマ「虎に翼」の最終回前ということで、半年間楽しみに視聴してきたマトカの2人で感想をあれこれ話してみました。終わって1週間経ちましたが、聞いていただけたら嬉しいです。